まだ夜が明け切らぬ三陸の海。煌々と照明を灯した漁船が次々と宮古湾へと入ってくる。夜半から沖合で操業していた定置網漁船だ。船が目指すのは湾の最奥部で構える宮古市魚市場。岸壁の上ではすでに市場関係者が忙しく立ち回り、水揚げの準備が進められている。船が着岸すると岸壁周辺は一気に活気付く。船倉から水揚げされた大量の魚は、市場関係者の阿吽の呼吸であっという間にさばかれ、魚市場の建屋の下に整然と並んでいく。リンリンと鳴る鐘の音はセリが始まる合図。目利き自慢の競り人たちが、多種多様で大きさも姿も異なる魚たちを取り囲む。セリが終わると、魚はあっという間に梱包され、魚市場の外へ。目覚めたばかりの宮古の町へと届けられていく。