宮古の旬を魅せる
美的感覚の光るすし


平成23年(2011)開店のふく留は、岩手盛岡のすし屋で20年の経験を積んだ親方、安藤秋司さんが夫婦で切り盛りする店だ。作り込まれた店内は金屏風を思わせる華やかな趣に満ち、席に着くと背筋がシャンと伸びるようである。特筆すべきは、ケースに美しく並べられたネタの数々であろう。色とりどりの新鮮なネタが勢揃いした姿は、目を見張るほどの賑やかさだ。宮古の海の豊かさ、鮮やかさを覗き見たかのような、楽しい気分にさせてくれる。

 


長年、盛岡のすしを見てきた安藤さんだからこそ、宮古のすしの捉え方も確としている。鮮度に対する職人の感性の高さ鋭さ。これが宮古のすしの源であり、職人たちのこだわりそのものでもある。
ゆえに、この土地では下ごしらえから握りに至るまでの仕事を研ぎ澄まし、ネタとシャリの旨さをシンプルに見つめた“素直なすし”が握られていると語る。安藤さんはこうした宮古のすしの姿に敬意を表しながら、長年磨いてきた独自の技を散りばめたふく留流ともいえるすしを体現している。

 


皿の上に一人前の握りを仕上げていく親方の姿は、まるで花を生けるかのようである。口の中でほろりとほどけるよう優しく握ったシャリを色とりどりのネタが飾る。すでに皿の上は花が咲いたようだが、親方の手は、紅葉の鮮やかな赤、飾り切りされた笹の深緑など、四季の色ですしをさらに美しく飾っていく。一貫一貫で旬を味わう楽しみもあるが、こうして宮古の風土に移ろう季節を感じるすしもまた風流である。

 

一貫一貫の魅せ方に、きめ細やかな技が光る一皿。

ふっくらとしていながら美しく整った穴子の握り。

ミルキーな風味をそのまま閉じ込めた、牡蠣の天ぷら。

塩ウニ巻きは、すし屋でもなかなかお目にかかれない。

すしの旨みを一層引き立てる、味わい深い銘酒が揃う。


店舗情報

 

店名 ふく留
電話 0193-77-3531
住所 宮古市磯鶏沖10-1
営業時間 昼 11:30-13:30 (L.O.13:00)
夜:17:00-21:00 (L.O.20:00)
定休日 水曜日
平均予算 昼 1,200円〜
夜 3,000円〜
席数 21席
(カウンター5席、テーブル4卓16席)
駐車場 有 (4台)

 

※5名様以上でご来店の際は、ご予約をしていただけますとスムーズにご案内できます。

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